なぜ、納税対策が必要なのか
相続財産・相続人を確定したら、次は「納税対策」に取り組みます。
ですが、相続が発生して相続税を納税される方は、全国で5%前後と言われていましたが、2013年に税制改正が行われ基礎控除が、5,000万円+1,000 万円×法定相続人数」から、「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」へ引き下げられた関係で約8%となっておりますが、多くの方は基礎控除の範囲内で収まるということになります。
また、相続前や相続後の節税対策により、本来は納税対象者であっても相続税を納税せずに済ませることが可能になる場合もあります。
ここでは①事前にできる相続税の節税対策、②相続税の納税資金確保の 方法について、一部ですが紹介させていただきます。
貸家建付地への変更
皆さんあまりご存知ないことですが、不動産は「土地と建物の評価は別々」に行われます。建物は別に税金がかかります。
土地の評価については、市街地はほとんどの場合「路線価方式」になります。
路線価:
相続税評価額といい、国税局で毎年1月1日に評価し、その年の8月初旬に発表されます。この路線価は、一般的な市場価格の80%の金額といわれています。
この路線価の価額が、相続税や贈与税を算出するための価額となっています。
→標準的な宅地(自用地)の評価:路線価×地積
通常は、更地(さらち)が一番高く評価されます。ですから、使っていない更地がある場合は、その更地に何かを建てることで、土地の評価を下げることができます。
例えば、「貸家建付地」が評価を下げるための効果的な方法としてご提案します。
貸家建付地の評価
貸家建付地は次の計算式で評価します。
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
借地権割合:
路線価のアルファベット表示で判断できます(場所により違います)
借地権割合というのは借りている人の権利の割合ですから、上記貸家建付地の計算式では「1-借地権割合」となります。
また借地権割合は、船橋市の住宅地では60%~70%が多いです。
賃貸割合:
全室に対する賃貸している部屋の割合です。
賃貸割合は「賃貸している部屋数÷全室×100」で算出できます。
例)自用地評価額1億円、借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合が100(満室)だった場合
1億円×(1-70%×30%×100%)=7,900万円
つまり相続税の評価が2,100万円も下がったことになります。
評価額は、アパートやマンションなどの賃貸物件を建築することによって下げることができます。借り入れをして建築すれば、さらに相続財産の評価を下げることができます。
ですが、相続財産の評価を下げても相続税の課税対象となり、相続税を支払うための預貯金や現金がない場合は、相続税を支払うために別途の納税用資金を確保するための対策を立てなければならないため、非常に苦労する恐れもあります。
当社や不動産の専門家にお尋ねしていただき、ご検討していただければ安心です。
貸家建付地の適用は、使い方次第で、相続時精算課税制度等を併用するなど上手な活用方法でさらに納税資金の確保も可能なダブル効果も期待できます。
相続時精算課税制度
相続時精算課税とは、高齢者から次の世代への資産移転の円滑化を促すために、平成15年度に創設された制度です。
1.制度の利用要件
(1)対象者:贈与者(65歳以上の親)、受贈者(20歳以上の子もしくは推定相続人、代襲相続人を含む)
(2)金額:贈与時の非課税枠が2,500万円、2,500万円を超える場合は20%の贈与税課税(定率課税)
(3)対象財産:財産の種類・金額に制限なし。贈与回数も制限なし。
(4)手続:受贈者(子)がその選択に関わる最初の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの期間に届け出ることによって開始します。ただし途中で止めることはできません。
2.メリット
この制度は相続税の課税対象に当たらない方が、事前に財産を贈与したい場合には非常に魅力的な制度です。なぜならば、通常の贈与であれば、生前に2,500万円の贈与に対して970万円の贈与税が課せられ、受贈者の手元に約1,500万円程度しか残らないことになってしまいます。
この相続時精算課税制度を利用することによって、相続が発生する前に、また贈与税を支払うことなく子に財産を移すことができます。
※参考:相続時精算課税制度と不動産との活用例
相続時精算課税制度については、贈与された時の価額(時価)で相続財産が評価されます。
例えば、相続税の課税対象になる土地のオーナーは、何ら対策を打たないと、そのままの土地が相続財産とされて課税されてしまいます。
またこの制度を知らずに財産を贈与してしまった場合は、贈与税の最高税率50%を課税されて納税することになってしまいますので、注意が必要です。
相続時精算課税制度を利用することによって、2,500万円まで非課税、2,500万円を超える額については一律20%の相続税を支払うことにより、息子さん名義のアパートを建築することができます。
そのアパートからの家賃収入については、息子さんの所得にもなりますから、相続財産に入ることなく納税資金対策としても効果的です。
もしお父様の名義のままでアパートを建てられた場合は、お父様が亡くなられるまでの間に入った家賃収入も相続財産となってしまいますので、注意が必要です。
ただし、貸家建付地との関係もありますから、不動産の専門家である当社にいつでもお気軽に一度ご相談ください。
※相続時精算課税制度の注意点
相続時精算課税制度は、あくまでも相続時に精算する制度ですから、そもそも相続税を納税されるような方は、納税資金の確保などの効果は見込めても、この制度そのもので節税することは難しいかと思います。
詳しくは当社にいつでもお気軽にお問い合わせください。
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